アトリエ連続公演

2023 アトリエ連続公演「肉体の四季・舞踏曼荼羅」─サラマンダー頌─のお知らせ

BUTOH IS EVERYTHING

◆ 期日 : 8月27日(日)15時開演(14時半開場)
◆ 会場 : 舞踏青龍會アトリエ
 福岡県小郡市二森1632~11(駐車場有り)

第一部

○ 木村由 / ダンス(東京)
 「silent dance」
○ Miyuki / 舞踏(東京)
 「花酔」
○ 松田美和子 / 舞踏(福岡)
 「戯(たわむれ)」
─第一部、二部間の休憩・換気(10分)/各演目間に2分間の換気タイム。─

第二部

○ Margherita Tess / 舞踏(イタリア)
 「切れ目」
○ 舞踏土佐派(大村万朶&中山直一)/舞踏(高知)
 「猿と人間の間」
○ 高砂舞踏協同組合(きよこ&マサト) / 舞踏(兵庫)
 「ドリームキャッチャー 2023」
《終演後の小宴は今暫くお弁当と乾杯程度に簡略化させて頂きます》
□ 会費 : 一般3000円 学生2500円
□ 定員 : 20名(要予約)
□ 予約・問い合わせ : 09050839055(原田)
 n_1949.1.1@docomo.ne.jp(原田)
舞踏青龍會の最新情報は下記でご確認下さい
◎舞踏青龍會HP http://www.butohseiryukai.com/
◎ Facebook「舞踏青龍會」で検索
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BUTOH WORK SHOP 舞踏講座

・8月25日(金)①14:00~16:00 ②16:30~18:30

・8月26日(土) ③11:00~13:00 ④14:00~16:00

・8月28日(月) ⑤11:00~13:00

□ 講師 : 原田伸雄(舞踏青龍會主宰)

□ 受講料 : 各回 1500円/4講座 5500円 /全5講座 6000円

□ 定員 : 各回5名

□ 会場 : 舞踏青龍會アトリエ

 ※初心者からプロまで。即興舞踏の神髄を伝授。
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■ 協力 出田浩志(大黒屋)/鶴留一彦/福澤信孝/屋根裏貘/身体表現教育研究会/キルクルス企画
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「うたかたの文(ふみ)」

闇の底に浮かぶぼんぼりのように、白い花が、手足伸ばせば届くと思えるほどの近くに浮かんでいる。その花から漂ってくるのか私の記憶から甦ってくるのか定かではないが、切なく甘い匂いがする。触れたい、と思う。しかし、叶わぬことも知っている。夢であってみれば、その距離ははかなくも遠い。
 願うまい。願ったものはすべて消えていったではないか。願いつつ願いを消そう。消すことのできた手だけが花に触れることが出来るのだ。そして、何よりも呼吸が問題だ。呼吸にこのからだを委ねよう。うまく呼吸さえすればもしかして触れることが出来るかも知れない。そう思ったとたん、あなたの訃報を聞いた。
 もともと存在するはずのないあなたが死ぬはずはないのだが、漁から帰ったばかりの漁師の一家から確かに私はその報せを受け取った。一瞬、私は、音のしない半鐘が海一面に激しく打ち鳴らされるのを聞いた。燃えるような夕焼けを背にゆっくりとくずおれていくあなたの姿を、閉じた目蓋の裏に見た。
 彼らが言うには、漁の最中にあなたから夕食の誘いがあり、指定の場所に出向き随分と待ったのだが、海はただひたひたと静かに波打つばかりでとうとうあなたは現れなかった由。海面に漲る静謐にあなたの死の徴を読みとるしかなかったと彼らは纜(ともづな)を手繰りながら淡々と語ってくれた。
はかなしと聞けども知らず過ぎにしを夏の蛍の消えしものとは
返歌
わが胸のくらき淵には繰りかえし消(け)ぬとはみせてかの日の蛍飛ぶ
 私はこれからあなたに長い長い手紙を書こうと思う。とは言っても文字のそれではなく、蛍の発光体のようなものを口から飛ばしてあなたに吹きかけるのです。そんなたよりない術(すべ)でしか綴れない私の想いをあなたはとうに解っているくせに、近づくほどに遠ざかる幽霊のように私を深みへ深みへと手招く。
 その滅亡感も捨てたものではない。夢に夢を重ねて私はゆっくりと息を吐き、息を吸おうと思う。そして、甘やかなあなたの匂いを、心ゆくばかり吸おうと思う。
原田伸雄(舞踏青龍會主宰)
25年前、月刊「博多独楽」(ラブレター特集)の依頼で「夢舞踏・夢日記」(1998年8月某日、記)に和歌二首を添えて加筆 掲載。
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